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小説ねぇ……。

 ちょっと今、ノープランで書いてみますよ、なんとなく。


 門番として門の前から離れることは許されない。
 しかし美鈴は今、とてつもなく紅魔館の中に戻りたかった。
 秋も深まり銀杏や紅葉が咲き乱れ、暑かった夏の面影は完全に無くなり過ごしやすい季節になった。かと思いきや、ここ最近急に冷え込んできたのであった。
 そして今日も寒い。寒いのだ。
 美鈴はずっと外で門の番をしていて寒いのだ。
 腕をさすって体温を保とうとするが、冷たい風が吹きそれを許してくれない。いつの間にか全身さぶいぼだらけだった。
「よう、今日は珍しく真面目に仕事をしているんだな」
 声のしたほうを見ると、そこには基本的に黒いという印象を与える服装の少女――霧雨魔理沙がいた。相変わらずエプロンは白い。
「昼寝はしないのか? あ、もしかして咲夜に怒られたばっかりで起きてるだけだったり?」
「失敬ね、まるで私がいつも仕事をサボっているみたいじゃないの」
「えっ、違うの?」
「違うっ!」
 決してサボっているわけではないのだ。すべてはあの暖かな日光がいけないのである。
 あの暖かな日差しに包まれたら最後、睡魔という魔物が自身に襲い掛かり夢の世界へと誘うのである。
「しかしお前、生まれたての小鹿のように震えているけど大丈夫か?」
「寒いのよ……」
「今日も随分と冷え込んでいるみたいだしなぁ、風邪には気を付けろよ。まあ私は防寒装備を施したからへっちゃらだけどな」
 見ると確かに魔理沙はふかふかのマフラーを首に巻いていた。あれは暖かそうだ。とてもふかふかそうである。是非とも触りたい。
「お、このマフラーが気になるのか? いいだろー、新調したんだぜ」
「いや、本当に羨ましいわ、まったくもって」
「あげないぜ」
「分かってます」
「それじゃあ仕事頑張れよ」
「貴方に言われるまでもなく頑張るわよ」
 そして魔理沙は紅魔館の中に消えていった。おそらくパチュリーの大図書館にでも行ってちょっかいを出してくるのであろう。そして図々しくもお茶を飲んで何事もなかったかのように帰るのであろう。
 魔理沙はいいとして、問題は今この寒さをどのようにして軽減するかである。このままではあまりの寒さで凍死してしまうかもしれない。いや、大げさだった。死ぬことはないにしても、魔理沙の言う通り風邪を引いてしまうかもしれな――
「……あ」
 自分の仕事は?
 紅魔館の門番。
 今何をしていた?
 寒さ対策について考えていた。
 ――ではなくて。
 魔理沙が中に入っていってしまった。
 自分の仕事は?
 紅魔館の門番。
 でも今魔理沙が中に入った。
「…………」
 美鈴は走った。未だかつてないほどの走りっぷりであった。
 御手洗いが近い時にでさえこんなに走ったであろうか? いや、ない。
 息を切らしながら廊下を駆ける。何度か妖精のメイドにぶつかりそうになったがそんなことを気にしている場合ではない。
 どこへ行くべきかは安易に分かる。地下の大図書館――パチュリーの元だ。
「パチュリー様!」
 大図書館の扉を勢いよく開けた。
 辺りを見渡す。が、パチュリーの姿は見えない。それどころか魔理沙もいない。
「パチュリー様ならお嬢様と一緒にいるんじゃないでしょうか?」
 そう言ったのはパチュリーの使い魔である悪魔の少女であった。
 山積みにした本を抱えている。片付けでもしていたのだろう。
「何かあったんですか?」
「し、侵入者です!」
「あー……、魔理沙さんですか?」
「まあ、そうです」



 つかれた。
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